焼き鳥「こころのこり」の正体とは?切ない名前の由来と希少部位の真実 - 複眼インデックス
焼き鳥のメニューにおいて、どこか文学的な響きを持つ「こころのこり」ですが、生物学・解剖学的な観点から見ると心臓大動脈部位を指します。具体的には、鶏の心臓(ハツ)から肝臓(レバー)へと血液を送り出す太い血管(大動脈弓)と、その基部を取り巻く脂肪組織のことです。
食肉流通の現場や熟練職人の証言によると、鶏の内臓を解体する際、ハツとレバーは隣接した状態で取り出されます。この2つの主要な臓器を切り離すとき、ちょうどハツとレバーの境目に残る細長い管状の血管と脂の塊こそが、こころのこりの正体です。
この部位の最大の特徴は、圧倒的な希少価値にあります。鶏1羽の心臓は親指の先ほどのサイズしかなく、そこから取れる大動脈はわずか数グラムに過ぎません。焼き鳥として食べ応えのある1串に仕上げるためには、鶏4〜6羽分の血管と脂を集めて丁寧に串打ちする必要があります。そのため、毎日まとまった羽数を店内で丸鶏から仕込む専門店や、信頼できる卸ルートを持つ店でしか提供できず、1日数串限定の「幻の部位」として扱われています。