少林寺拳法とは何か?中国武術や空手との違いと日本発祥の真相 - 複眼インデックス
格闘技ファンや武道経験者の間でしばしば議論されるのが「少林寺拳法は実戦で使えるのか?」というテーマだ。この問いに答えるためには、少林寺拳法が定義する「実戦」の意味を捉え直す必要がある。
少林寺拳法における技術の根幹は、攻撃に対処する「剛法」と、拘束に対処する「柔法」の完全な融合である。
- 剛法(ごうほう):突き、蹴り、打ち、切り、かわし、受け。相手の攻撃を正面から力で受け止めるのではなく、体捌きでかわしながら急所(経絡・経穴)を的確に攻撃して無力化する。
- 柔法(じゅうほう):手首を掴まれた、胸倉を掴まれた、抱きつかれたといった状況から、テコの原理、人体の関節可動域の限界、重心の崩しを利用して相手を倒し、逆手や固め技で制圧する。
総合格闘技(MMA)のようなリング上の1対1・体重無差別の殴り合いを想定した場合、少林寺拳法の技術体系は直ちに対応できる設計にはなっていない。なぜなら、ルールが存在し、互いに身構えた状態から殴り合うこと自体を想定していないからだ。
少林寺拳法が真価を発揮するのは、「予期せぬ不意打ち」や「突発的な暴力への対処」といった日常の危機管理、すなわち護身術の領域である。相手の襟や手首を掴まれた瞬間、腕力で対抗するのではなく手首の骨格構造を利して外す「抜き技」や、関節を極めて床に伏せさせる「逆技」は、小柄な女性や高齢者でも大柄な男性を制圧できるように緻密に計算されている。相手の命を奪ったり後遺症を残したりせず、その場の危機から確実に離脱する「不殺活人(ふさつかつじん)」の思想に基づいている点が、他の格闘技と決定的に異なる。