亀岡暴走事故の真相と現在|法改正へ動いた遺族と加害者のその後 - 複眼インデックス
社会に大きな怒りと動揺が広がる中、司法が下した判断は遺族と市民社会にさらなる絶望を突きつけることになりました。検察当局および京都地方裁判所の審理において、焦点となったのが「危険運転致死傷罪(当時の刑法208条の2)」を適用できるか否かでした。しかし、法が定めていた構成要件の厳格さが壁となり、危険運転致死傷罪の適用見送りという極めて不条理な結論に至ったのです。
当時の法律において危険運転致死傷罪が適用されるのは、アルコールや薬物の影響で正常な運転が困難な状態、制御困難な超高速度での走行、赤信号の殊更な無視などに限定されていました。「無免許運転」そのものは危険運転の直接要件に含まれておらず、単なる「極度の疲労・居眠り」も同罪の要件に該当しないと解釈されたため、適用された罪名は法定刑の著しく軽い「自動車運転過失致死傷罪」および道路交通法違反(無免許運転)にとどまりました。
京都地方裁判所は2013年2月、少年の反社会的傾向や遺族の処罰感情の苛烈さを認めつつも、少年法第52条の規定に基づき、主犯の少年に対して懲役5年以上8年以下の不定期刑を言い渡しました。亀岡暴走事故の判決理由において裁判官は、「睡眠不足により居眠り運転に陥った過失は極めて重大であるが、現行法の枠組みにおいては過失犯の枠を出ない」と言及。この判決は大阪高等裁判所でも維持され、最高裁への上告を経て確定しました。また、少年に車を貸し与えた知人や同乗していた少年らも無免許運転幇助などの罪で保護処分や有罪判決を受けましたが、最愛の家族を理不尽に奪われた遺族にとって、納得のいく司法判断とは到底言えないものでした。
さらに亀岡暴走事故の裁判の全貌を語る上で欠かせないのが、京都府警亀岡警察署による「個人情報漏洩事件」です。事故直後、捜査担当の警察官が被害者遺族の同意を得ることなく、遺族の氏名や電話番号を書いたメモを加害者の父親に手渡していた事実が発覚。加害者側から遺族宅へ直接電話がかかってくるという言語道断の事態を招き、深い悲しみに暮れる遺族の尊厳を無残に踏みにじりました。この警察の不祥事は国家賠償請求訴訟へと発展し、警察行政における被害者保護のあり方を根底から見直す契機となりました。