あやめ・しょうぶ・カキツバタの違いとは?一瞬で見分ける決定版 - 複眼インデックス
「どちらも甲乙つけがたく優れていて選択に迷うこと」を意味する慣用句「いずれ菖蒲(あやめ)か杜若(かきつばた)」は、『平家物語』に記された平安末期の故事に由来します。
鵺(ぬえ)退治の功績を挙げた武将・源頼政は、鳥羽上皇から褒美として美女「菖蒲前(あやめのまえ)」を賜ることになりました。しかし上皇は頼政を試すため、菖蒲前と背格好・容姿が瓜二つの美女12人を並ばせ、「本物の菖蒲前を一目で見抜いて連れて行け」と命じました。その際、困惑した頼政が詠んだのが次の和歌です。
「五月雨に 沼の石垣 水こえて いづれかあやめ 引きぞ煩ふ」
(五月雨で水没した石垣のように、どれが本物のあやめか見分けがつかず引き抜くのに迷ってしまいます)
頼政の見事な機転と風流さに感嘆した上皇は、無事に菖蒲前を頼政に引き渡しました。この時代、「あやめ」という言葉はサトイモ科のショウブを指すことも多く、水辺に咲くカキツバタと混然一体となって美の象徴として扱われていた文化的背景が伺えます。
また、それぞれが持つ花言葉とその由来にも、歴史的な情景が反映されています。
- あやめの花言葉:「良い便り」「希望」「メッセージ」
(ギリシャ神話の虹の女神イリスが神々の使者として吉報を届けた伝説に由来) - カキツバタの花言葉:「幸福が来る」「思慕」「高貴」
(『伊勢物語』で在原業平が「かきつばた」の5文字を句頭に詠み込んだ、都に残した妻への愛の歌に由来) - 花菖蒲の花言葉:「優しい心」「優雅」「信頼」
(初夏の水辺に静かに佇み、しっとりと大輪を咲かせるたおやかな姿に由来)